ナローバンド撮影CMOSカメラのムラ除去

 ナローバンド撮影でのムラ模様は恐らくCMOSカメラ自体のセンサー感度むらに起因する可能性があるのではと感じています。しかし、そのムラが目立つのはN.I.N.A.フラットウィザードで作成しているフラット画像(他で作成したフラット画像は未確認です)で、そのムラが顕著に見えるフラット画像を用いて補正した画像に、逆補正でムラが目立つようになるのではと感じています。謂わば「ナローバンド撮影の撮影ムラは、取得しているフラット画像が原因」と自分勝手に考えています。
ただ、実際のLight画像にムラがある場合はまた別かも知れません。今までの所、QHY600MでN.I.N.A.で撮影しそのフラットウィザードを用いてHαやS2のフラット補正をすると目立っています。他の方法での画像処理は行っていない(SIで実施時は何故か上手くいっていないので未実施)ので、間違いかも知れません。少なくとも私の環境や操作ではこうなっています。

 そもそもフラット補正は、撮影時の光学系で中央と周辺部の露光量差を補正する面が主体と思います。又、フィルターやセンサー前面の付着汚れなどの除去もあるかと思います。付着汚れの面を考えないで単に周辺減光を補正するだけなら別のフィルターを用いたフラット画像でも代用できるのではと考えました。この方法でもセンサー前面の付着汚れはある程度は除去出来ると思います。特にLフィルターであれば撮影全波長域が入っているので、センサー感度むらは無視出来て単に周辺減光を中心に補正出来るのではと考えました。
フラット補正しないと言ったアプローチも在りますが、それは最後の手段として考えています。ただ、発生しているCMOSカメラ フルサイズのQHY600M はVSD90SSの接続しています。VSD90SSの周辺減光はフルサイズでも公称値 93~94%程度なので、フラット補正はしないという方向も現実的です。今回の検証「Lフィルターのフラット画像でフラット補正」が上手くゆかないときは、「VSD90SSで撮影しているからフラット補正は無し」と結論付けるのもありと考えています。

1)Lフィルターのフラット画像(ADUを10%~90%まで変化させたもの)

上の画像を単に標準ストレッチした画像

左上から右順で、中段、下段で 平均ADU10%~90%まで変えて取得。

これらのLフラット画像を用いてHαの補正&合成を実施しました。

2)LフィルターでHα画像をフラット補正して合成

尚、全てストレッチした画像です。
①上段左:当初のHαのフラット画像
➁上段中:当初のHαフラットを用いて合成したHα画像
➂上段右:フラット補正を行わないで合成したHα画像で
④下段左:LフラットのADU10%でフラット補正したHα画像
⑤下段中:LフラットのADU50%でフラット補正したHα画像
⑥下段右:LフラットのADU90%でフラット補正したHα画像
画像で黄色楕円はムラ模様の部分。橙楕円は、センサー窓の汚れと思われます。

これから大体以下のように考えます。
A) ムラ模様の無いものは、フラット補正無し、及びLフラットを用いたものでADU%に無関係
B)汚れについては、Lフラットで補正しきれない時があるよう。
C)Lフラットについては、平均ADUについて特段変化は無く、通常30%~50%で良い感じ。
D)何故か不明ですがフラット補正なしだと、汚れは目立たない感じになっている。但し、Lフラット補正で残る汚れは特にひどい箇所で他は消えているので、センサー窓の清掃で消えると思われます。

Lフラット画像を見ると、フィルター起因でないと考えますが、矢張り中央と周辺で減光が有るので、当面はLフラットを用いて補正して行くことで進める積りです。

因みに少し情報提供です。
PixInsightではマスターフラット画像は同じフィルターのファイルで無いと受け付けてくれません。当初Lフィルターのマスターフラットを指定したのですが、エラーになりました。強引にファイルの情報でフィルター情報の変更と考えましたが、ここで思案。
N.I.N.A.のフィルターホイールを手動ホイールを指定してしまう方法です。
一旦、正規のホイールで ”Lフィルター” を選択してフィルター交換、そしてホイール切断。そのまま手動ホイールを指定。この時フィルター情報(オプションの機材で指定済み)を其の儘使えます。フラットウイザードでは単にHα、S2とかを指定して変更はOKとしてウィザードを動かせば、実際にはLフィルターのまま、HαやS2の情報が入ったLフィルターのフラット画像が得られます。

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