3台構成投稿に掲載しています、所有望遠鏡関連の表を此方に移す感じで再掲します。自分でも何処に載せたか探したりするので、専用投稿にする事にしました。尚、RMSは直径です。
慎重に考えて書いているのですが、半径値、直径値で混用しているかも知れませんので、その場合はご留意願います。今までは数が少ないので電卓叩いて数値出していたのですが、今回一旦Excelに纏め予め計算式を入れて計算ミスが無くなるようにしました。それでも計算式が違うと値が違うのでヤレヤレです。現時点(2024/11/30)で下表の情報が最新で、以前の表と違いがある場合で修正されていない場合は此方の値を優先してください。
1.各望遠鏡での値
各列の情報の計算法を示します。(書式不案内ですので、PC以外で参照されると見ずらいかも知れません。ご容赦願います)
・AiryDisc: 基本式は sinθ = 1.22 x λ/d
ここで θ:レンズ面での最小暗環への角度、λ:光の波長、d:レンズ直径
θは微小である点から x を焦点面での最小暗環距離として
θ:x / FL = 1.22 x λ/d → x = 1.22 x λ xFL / d FL:焦点距離
→ x = 1.22 x λ x F(レンズF値)
ここでは λ として緑色域の 540nm を使用しています。
注意点としては、エアリーディスクは角度なので、半径相当です。従って、
円を見る直径の場合は2倍値で考慮するという点です。
・有効AiryDisc :単に私が勝手に使っている指標です。中心明部は徐々に暗くなるのでセンサーに
意味のある域があると考え、そこまでを有効エアリーディスクと考慮。
元々は点光源の分散はPSF(Point Spread Function)という形で定義されている
ようですが、これを敢えて正規分布(ガウス分布)で捉え、標準偏差σの考え
から数値定義しています。
±4σ:全体の99.994%を含む → これをAiryDiscと想定
±3σ:全体の99.7%を含む → これを有効AiryDiscと想定
この考えから、エアリーディスク直径 x 3/4 を 有効エアリーディスクと考慮
・半値全福(FWHM):X(Twitter)で質問した折に結構評価情報として使わているとの事で、
ここでももう少しピックアップする事にしました。星像の質を見る場合にも
使われているのでこの方が良いだろうと思います。最大明度の半分の直径です。
以前の投稿でも情報的には意識していましたが、シッカリ情報として残す事
にしました。
正規分布(ガウス分布)とすると
FWHM = 2.35σ
大胆にAiryDiscからの算出では、
FWHM = 2.35 x σ:(AiryDisc直径:±4σ) → 2.35 x AiryDisc直径/8
→ 2.35 x 有効AiryDisc直径/6
・半値全福 秒角:レンズ面から見てFWHM値の角度(円錐の頂点の角度)。
このFWHMの角度で撮影される星像が、
・シンチレーションで振れる(シンチレーションの方が大きい)
・シンチレーションで振れない(シンチレーションよりFWHMが大きい)
と判断出来ると思います。
計算的には、焦点距離と中心からの距離でのsin関数的ですが、角度が微小な事
より近似します。
ラジアン算出で、角度 θ = ((半値全福) / 1000) /FL 1000はmmへの換算です。
秒角ではラジアンからの変換係数:1ラジアン=206265秒角 で算出します。
機種 | FL (mm) | F値 | 有効airy disc直径 (3σ)*1 | 有効airy disc径 (秒角) | 半値全福(FWHM) 2.35σ | 半値全福 秒角 | シンチレーション 3秒角 | APS-C RMS | FULL RMS |
TOA-130NS+645FLT | 990 | 7.6 | 7.5μm | 1.6 | 2.9μm | 0.6 | 14.4μm | 2.0μm | 3.0μm |
VSD90SS (RMS目測) | 495 | 5.5 | 5.4μm | 2.3 | 2.1μm | 0.9 | 7.2μm | 5.2μm HP目測 | 6.5μm HP目測 |
SQA55 | 264 | 4.8 | 4.7μm | 3.7 | 1.9μm | 1.5 | 3.8μm | 4.1μm | 7.4μm |
FMA180 Pro | 180 | 4.5 | 4.4μm | 5.1 | 1.7μm | 2.0 | 2.6μm | 10.6μm | 13.2μm |
FSQ-85EDP+QB073 | 330 | 3.9 | 3.9μm | 2.4 | 1.5μm | 0.9 | 4.8μm | 3.8μm | 7.8μm |
参考: 肉眼?(瞳径6mm) | 17 | 2.8 | 2.8μm | 34 | 2.2μm | 26.6 | 0.2μm | 中心5μm? | ー |
参考:FCT-65D+FURD | 260 | 4.0 | 4.0μm | 3.1 | 1.5μm | 1.2 | 3.8μm | 3.0μm | 5.0μm |
参考: UltraCat108 | 518 | 4.8 | 4.7μm | 1.9 | 1.9μm | 0.7 | 7.7μm | 4.8μm | 4.7μm |
2.自分(ブログ主)どう解釈する?
全く私の独断(評価ポイントが分からないので独断として)望遠鏡毎に記述します。又、眼視観点は一切含みません(自分の目は像が伸びだりしているので評価できない)。
特にシンチレーションの動きと半値全福(FWHM)系で見ます。以前は有効AiryDiscをメインに評価していましたが、どうも実際に計測が出来るFWHM(最大光強度の半分強度の径)の方が現実的と考えて。
しかし、計測といってもシンチレーションの影響下の計測なので可笑しいですが。また、CMOSカメラで撮影すると光強度が強い星像は大きくなっている(これもシンチレーションの影響かも知れませんが)ので意味が合わない点もあると思います。一応、星像は点光源の理想形PSF分布とします。
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CMOSカメラで撮影される星像が明るい程大きな像になる点、自分としては理解解決出来ていません。この辺りも別途調べたりして納得行く形としてみたいです。肉眼で見てもそんな感じを受けるのがヒントですかね??上の表に肉眼情報を少し入れてみました(夜の瞳径6mm)、単なる参考です。
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1)TOA-130NS+645FLT
FLが長いことによるシンチレーションの影響が大きく、露出の長い撮影では現時点ではどのCMOSカメラを使用しても同じではと思います。以前の精細に撮影したくQHY294M Mode1を使ったのは全く意味無いと感じます。大き目のチップサイズでダイナミックレンジを大きくして撮影した方が明暗が良く情報量が多い画像になると思います。ただ、ラッキーイメージングに近い短時間露出(1秒から数秒)をすれば、シンチレーションの影響が少ない画像が撮影は出来ると思います。しかし、画面一面が同じようなシンチレーションの波に入っていれば良いですが、ふらついていれば結局画像処理の合成の中で大きくされてしまうので、画角を絞って同じような方向へにふらつき画像になるなど工夫が必要ではと感じます。
一時はラッキーイメージングでの撮影も考えました(やや広い範囲での撮影も想定)が、上記考察からラッキーイメージング撮影はしない方向で考えたいと思います。矢張り個人レベルでは惑星とかの拡大撮影で採用するのが良いのでしょうね。
結局実質大き目のチップになる撮影(ASI2400MCやモノカメラのBin2等)が良いのだろうと感じます。
2)VSD90SS
現時点(2024/11/30)での最小チップ(3.76μm)CMOSカメラに近いRMSと倍ほどのシンチレーションでみていますが、シンチレーション秒角は自分の富士ヶ嶺拠点環境での仮値です(実測はしていないです)。2秒角であれば、十分この望遠鏡性能と同等になるので、モノCMOSカメラやカラーCMOSカメラでの撮影が出来るので、現時点強力な望遠鏡かなあと感じます。
こうなると赤道儀のガイド性能が見えてくるように思いますが、PHD2などでのオートガイドであれば十分ではないかと思います。高精度(1秒角以内)のガイドが出来るのであれば、複数合成( Integration )での肥大化を回避するような撮影も出来ると思いますが、如何でしょうか?私は長くても3分の撮影(しかし殆どが20秒~1分)なので、ガイド性能(現時点1秒程度に収まっています)は余り意識しないようになりました。
最近BXTも導入していますが、それを掛けると結構星像が小さくなるのでもう充分ですね。
3)SQA55
此方はFLが短い点やRMSがAPS-Cまでは小さいので、データを見た感じでは無敵な様子です。
VSD90SSと同じような捉え方ではないでしょうか?ただ、この望遠鏡には絞りがついており、各位のレビューでは明るい星が星割れになるようです。撮影画像の質ではやや不利では無いかと思います。
この機はフルサイズで有れば、現在広範囲撮影用のFMA180 Proと性能比で良いので悩ましいところです。また、タカハシ FCT-65D+FURDではタカハシの方が性能的には若干上ではと感じる事ですね。
何となくSQA55が良い点はフォーカス移動でドロチューブが無いので、カメラ取付、合焦で良いと感じがします。
尚、現時点自分所有のSQA55はお休み状態なので、この程度にて。
4)FMA180 Pro
数値評価的には広範囲撮影用で所有しました。殆ど望遠鏡のRMS性能が支配項でシンチレーションの影響も無視できるレベル。FLからみてシンチレーションは当然なのかと思います。画像の周辺側で収差が目立つような感じかと思います。未だBXTを使った処理はやっていないのですが、同様に期待できるレベルと思います。
なお、この機もドロチューブヘリコイドでの合焦なので、カメラ側が多少重くても撓みの心配も無く良いなと思います。最近はWillamOptics社のWIFD等のような合焦機能が良いなと感じています。
5)FSQ-85EDP+QB073
自宅電視観望としていましたが稼働が無く今は富士ヶ嶺に保管しているのですが、同様に評価して見ました。SQA55よりも若干FLが長いですが、性能的には上ではと感じます。最近の最小チップCMOSカメラでも結構な成果を出せるなあと思います。こうなるとSQA55からFSQ-85EDPとも考えられますが、ネックは重量ですね。赤道儀に個別搭載に近くなりますので、私の架台(CRUS200MF)では窮屈になってしまいます。少しは此れを搭載しようかと考えましたが、重量的な面で避けています。
以上で簡単ですがこんな解釈(単なる説明ですね)です。1)、2)が主力機なので他は本来Sub機です。Sub機なのでFSQ-85EDPのような機の搭載利用は”今は”避けました。特にFMA180ProはHαの広域撮影をしてみたいと云った側面での利用なので、厄介とかなれば使わなくなるレベルです。SQA55はFMA180Proの後に再稼働と思っています。
2024/12/2 訂正
FMA180 Proの合焦法間違いを訂正
2024/12/5 追記
表に参考として タカハシ FCT-65D+FURD の値を追加しました。
2024/12/15 追記
気になっているWillamOptics社のUltraCat108を追加しました。WIFD機構なので SQA106 より気に入っています。ただ重たくなる対物側が移動系になる点気になりますが。合焦系はほぼ固定でβ‐SGRとかの方が良いのだろうと感じています。良く分からないときに手放してしまった。
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