前回の考察からTOA-130NSでの撮影は、SQA55でのガイドで精度的な面は評価できるとしました。
SQA55でのガイド精度は露出短時間(1秒)として2秒角、中時間(1.5秒)として3秒角で考慮したいと思いますが、富士ヶ嶺の想定シーイングを3秒角としているので、中時間での評価で良いと考えます。
実際のSQA55でPHD2のガイド状況(但しアルゴリズムはDefault、設定はヒステリシス)を調査してみます。露出時間は、0.5秒、1.0秒、1.5秒、2.0秒にて実施しました。エリアはM33の辺りで高度40度から55度程度
このログ状況から、ガイドは10分程度ですが、露出1.5秒が良いような感じです。
この露出1.5秒を指定しアルゴリズムをPPECにした状態で、学習(300周期)含んだ10分程度とその後の10分程度をPHD2でガイドしてみます。エリアは同様にM33エリアとしました。尚、学習前とさせるため、一旦ヒステリシスでガイドしその後ガイドを停止しアルゴリズムをPPECとして実施しています。これが正しいか未調査です。
PPECについてはガイド精度的には非常に良いと思います。ただ2回目は1回目をStopした後にStartとしているのですが、スタート直後はそれ程良い結果でも無いので、やはり一旦停止してしまうと再度学習なのではないかと思われます。
PPECが常にガイド開始と共に学習開始で精度向上してゆくとすると、ガイド開始の最初は捨てるか学習時間(この場合、1.5秒x300c=7分半)は撮影をしない方が良くなることになります。しかし、N.I.N.Aではオートフォーカス再実行の場合やフレーミングの場合ガイド停止となるので、PPECも難しい感じかも知れません。PPECはデザリングでは学習結果を継続ですが、その他はどうも学習をしているような感じです(Manualから)。N.I.N.A.利用を前提としているので、このPPECの動きは仕方ないとしても使う面では大きく引っ掛かります。
TitanTCSのPECは、コントローラー内に所謂ギアの固有なポジションを意識して内部的に制御しているかも知れない(単なる推測です)と考えると、やはり再度TitanTCSでのPECの学習を1秒と1.5秒で検証してみる価値があるかも知れません。0.5秒はシーイングでの揺らぎを考慮し対象から除きます。Hobym社からの指摘は2秒は長いので短くとの指摘のみのため。
但し学習1.5秒は学習1秒が良ければ学習しないとし、ガイド検証的にはガイド露出は1.5秒と1.0秒の露出で検証します。実ガイドでは検証結果も考慮して決めたいと思いますが、なるべくシンチレーション平均化したいのでガイド露出は1.5秒の方にしたいと思いま。これはPECはTitanTCSの内部的な動きで、外部からの補正には追従しないのではとの推測に依ります。
クジラ座 Iota近傍(方位210度、高度41度、時角1:30近傍)でPEC学習
その後露出1秒にてガイド開始
続いて露出1.5秒にてガイド開始
結果としては、学習(露出1秒)後ではガイド露出1.5秒がやはり良く、3秒角に十分入り2秒角でも評価できるように思われます。但し後半で空状況が若干悪化しガイドが振れている現象は出ています。当面このPEC学習データにてガイド露出1.5秒にてPHD2通常ガイド(Defaultアルゴリズム)で進める事にします。(以前はTitanTCSのPEC無し。PHD2でPPECを使用)
別件ではありますが、実ガイドを開始して、ガイドエラーにはガイド星のFWHM(半値全幅)の値(カメラゲインや明るさで変わる)が影響しているようです。以前のHobym社からの情報で3以下にした方が良いとのコメントもあり(その時は4.0以上)。この3以下の面でゲインや明るさを調整したいと考えます。現在撮影中(馬頭星雲近傍)のガイド星では2.5~最大4程度で推移しています。ゲイン68、明るさ右寄り80%程度ですが、対象となった星に依るので厄介ではあります。
又、実際のメイン鏡での撮影画像では1ピクセル周辺を入れて9(3x3)ピクセルに収まっている星像は光量の関係か殆ど見当たらず、光量の関係でピクセル飽和して周辺ピクセルへの漏出で拡大(明るい星が大きくなる)しているのが実情(以下写真)です。考察しても実態との乖離で何ともな感じはします。
30秒露出の1枚ですが明るい星は大きな範囲で感光するが、暗い星はやはり周囲のピクセルを含んだ淡い像になっています。隣り合わせピクセルでの感光とは違っています。合焦の関係もあるとしても、他に露出時間での振れによるとしても、感光ピクセル(上記写真の小さな4角ドット部)が10ピクセル四方としてTOA-130NSでのQHY268Mのピクセル秒角(概ね1.5秒角)から15秒角になるので、どう考えたら良いものやら?
今の所考察と実撮影の相違に対する考えが分からないですね。この場合ピントズレなら拡大も分かるのですが。この写真はHαなので再度 L 画像で同様に見てみたいと思います。
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